和歌のコーナー

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2003年(平成15年)秋




初秋(京都西山、大原野の秋、風景歌)


ともどもに伝えて哀し秋の風幾ばくなりとも稲穂を掬う
この年、京都府以外稲作は不作であった。
 
覚えなく繰り返す日々も秋ならば便り待つ身も早けく日暮れ
 
ゆく風の険しきこころ秋の葉を散らして行くを良しともいえず

この年の世界情勢も、幸福とは云いがたい。
 
実を結ぶ秋と云うにはしばしあり鳥たちの影彼処(かしこ)に目立つ
大原野は果樹(柿)栽培が盛んである。また鳥達も多い。
 
はらはらと冷気の寄せる秋の夜々消えゆく虫の口惜しき声
 
想われど夢も叶わぬ秋ならば燃え立つ夏を今一度とも
 
秋葉立ちうつろうべきは日の翳りわれまた熱くひととせを生き
 
雨やんであらしのごとくか秋風は過ぎ行く日々の無為をも吹かせ

 
 
 
秋たけなわ
 

京都西山を見て
山濡れる紅葉が飾る秋ありて惑うこころは少しく目覚め
 
紅葉にたとえるものは恋の夢狂える言葉は秋風に萌える
 
葉がいたむ秋の鋭い鳥の声いつかは知れずまたひどくなり

歯が・・・
 
  
 
晩秋(同じく京都西山・大原野にて、風情)
 
  
秋散れる紅葉も風も終わりかな逝く人の報さらに淋しく
 
枯葉には色が激しく叩きつけ何も叶わぬ寒空の候
 
この年は春に惑い夏に病みいままた哀し来る歳の闇

この年の世界情勢。上記。

踏み崩し枯葉の森を終わり来て開けても眩し陽に陰る山
残照の季節、秋の気配も終わり





2004H16.11.21 灰皿町公園5番地に所収したものを移設。2014H26.12.16
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